ふ、 と夢が途切れた私の目に映ったのは一匹の兎。兎といってもそれは動物図鑑に可愛いんだか生生しいんだかの立ち位置でいるような哺乳類的なものではなくて、今流行りのアリス、僕らのアリス……って感じの所謂「シロウサギ」だった。
ちくたくちくたく。案の定、聴こえてくる時計の音。成程、ここからアリス・ザ・ワンダーランド・パロディが、あの質の悪い一幕が、センスの無いグロテスクホラー的ふぁんたじあが始まるのね! って馬鹿め死ね。
その兎の眼はコウヤに似ている。と少し思った。先月かもしくは先週に私が片思いを止めたコウヤは、どうやらミキちゃんとよろしくしてるらしい。毎晩化粧水と乳液で肌の手入れは怠っておりません、みたいな顔で椅子をかたかたさせて笑うミキちゃんとだ。
世界は単純過ぎて難しい。ドラマティックがありふれていて到底私はついていけてないのだ。どうしてそれが単純だってことに気がつかないんだろう。まったくもって不思議世界。
悪いけど。
兎の視線から逃げるように私は布団の中に潜り込んだ。
朝になったらなんて言わず、いつだって私は
超現実を生きているのだ。
(教室でコウヤに会うのが怖い。ミキちゃんの顔を見たくない。違う。私は公哉くんをコウヤなんて呼べないし、ミキちゃんのかたかた笑顔をかわいーよねえとか言いながらがくがく笑ってしまうんだきっときっと)
だから、悪いけど。
私は息を吸って夢の中へ帰還する。
ふ、
(Fin)