twinovel【01】
所詮あたしは三十二歳の売れない放送作家で、賞味期限ぎりぎりの芸人だとか性欲だけを詰め込まれたグラビアアイドルだとかがどうしようもない茶番を繰り広げる深夜番組のスタッフロールに時々存在する程度の女だった。
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そういえば私は最近笑わない。教室で多用されるような誘導された安っぽいものではなく、そんな仕様のないものでは決してなく、もっと何かをどうにかできるような、誰かを許す時のそれと酷似した微笑。そもそも私は真剣に他人を許した事があっただろうかとそれすら疑問である。
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フジワラモトオの声を聴くと何かが許されたような気分になる。それを期待して、新譜。フジワラモトオは私たちみたいな自称・弱虫の間では神様だから、きっと何かを許してくれる。何かを許されたいわけじゃないけど、期待して、新譜。
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私のなかが不安で満たされそうになるとき。さむい。指先が冷えきっていて、ぞ、とあの日々に這わせようとする。けれどそれは大抵失敗していまう(あの日々は存在すらしていなかったからだ)。ふいに、誰かが私を呼ぶ。私は振り返れずに、つぶやく。みむら、
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上手くなりたい、って言ってしまえば何もかも簡単なんだけど。あたし、負け犬気質で劣等感劣等感うるさい割に、褒め言葉って嫌いなんだよね。どうしても信用ならなくてさ。ね、ね、それでさ。やっぱり、あたしの告白も、信用しちゃいけないわけよ。だってそりゃあ、そうでしょ?
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部屋が散らかっている。昨夜の夢の国の残像達を部屋の隅に寄せ、散らばったゴミを捨てた。飴の袋。学習計画表。午後の紅茶。教科書ありがとうのメモ。夢の国への入場パスポートを捨てる時、袋に描かれたミッキーマウスはこっちを見ている。
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怖い夢を見た。嘘を吐いた私の口からは濁った色の泡沫が溢れ出てしまって、息苦しい。左足にはいつかのあの子がしがみついていて、「あたしのことなんか嫌いだったんでしょう嫌いだったんでしょう」って泣くから、私はそれを蹴落とすので精一杯になる。
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私の劣等感を馬鹿にしていいのは私だけ。午前2時の秒針は私を置き去りにするけれど、私は誰のことも許さない。そもそも許すことと謝ることは同意では無いわけで。時間を流れない私は正直者だけど、あなたの前の私なら嘘だって吐けるの。
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(17歳で夏でマトモに馬鹿だ)14歳のどうしようもない馬鹿だったあたしは、ナカノミサトと友達だった。2人で作った内緒の話。きすしたことって、ある? と呟いたのはミサトだったのかもしれなかった。(あたしはあのときの彼女の真白いふとももがおそろしくて仕方ない)
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悪意で夜が湿っている。だれもかれもが悪いのに、自分だけのせいにするふりはもう疲れた。いつかあの娘はあたしを「偽善者」だって睨みつけていたけど、だったらねえねえ、優しくて何が悪いのか、あたしに教えて頂戴よ。